プライマリ・ケアの臨床推論

―文献名―
Norbert Donner-Banzoff, et.al.The Phenomenology of the Diagnostic Process: A Primary Care-Based Survey. Medical decision making. 2017; Vol1:27-34

―要約―
Introduction:
診断を行う臨床家にとって患者の言葉や病歴、疾患の有病率、視覚的な印象、身体診察の所見など莫大な情報が得られる。人間の脳は限界があり、多くの情報はノイズとなっている。ではいかに情報を収集し、選択し、重みづけし、無視しているだろう?いつ情報収集をとめ、続けているだろう?医学界で最も影響力のある臨床推論のモデルはElsteinらの提唱した仮説演繹法となっている。このモデルでは早期に診断仮説が形成されるが、診断仮説が生まれる前に起こるプロセスはわかっていない。一つかそれ以上の仮説が受け入れられるとき、臨床家は数百から千から3つか4つの説明可能な範囲へ狭めている。私たちはデータ収集の最初の段階で中心的な役割を‘Inductive Foraging’として提唱している。
 私たちの目的は総合診療医(以下、GP)が診断に用いる認知戦略を明らかにすることだった。結果に基づき、数多くの鑑別を考慮しないといけないGPやそれ以外のセッティングでの現象学を提示する。

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Method:
ドイツのヘッセン州マールブルグ-ビーデンコプフ群で勤務し、5年以上の臨床経験と卒前、卒後の教育経験を有する12人の常勤のGPへ研究への参加を依頼し、全員から同意を得た。それぞれのGPの3.5日の勤務を評価した。患者は症状や可能性のある診断とは無関係に組み入れられた。慢性疾患の定期通院や今回の受診前に診断された疾患の再診といった、診断とは異なる理由での受診は除外した。
 参加したGPはそれぞれの患者へ研究について説明し、研究への参加と診療のビデオ録画への文書での同意を得た。同意後にGPは通常の診療を行い、その後に診断推論を説明してもらうため半構造化面接を行った。インタビューも診察と同様にビデオ録画を行った。
 診療とGPへのインタビューは言葉通りに文字起こしされ、質的データ分析ソフトのMAXQDAによってコードされた。過去に出版された研究を引用し、GPの診断推論と情報収集の振る舞いを描出するカテゴリ化を行った。その後、ランダムに選ばれた3つの診療と3つのインタビューにより信頼度を調査した。2人の盲検化された独立した評価者がデータのコードを高い信頼性をもって行い、84%の一致だった。この研究はマールブルグ大学医学部の倫理委員会で承認を得た。

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Result:
12人のGPのうち、5人が女性だった。平均年齢は53歳であり、プライマリ・ケアに従事した期間は2 1年だった(詳細はTable2)。除外基準にあてはまる診療を除くと、168回の診断エピソードを含む134例の診療が分析の対象となった(Figure2のフローチャート参照、患者の特性はTable3を参照)。
診療の平均時間は9分59秒(2分45秒から28分15秒)、インタビューは2分から18分の間で終えた(平均6分35秒)。
 Inductive Foragingは122例の診療(91%)でみられた。残る12例のうち5例は技術的理由で診療の開始が録画されていなかった。この段階の所要時間の平均は34秒(6-176秒)であり、診断エピソードにかかる14.6%を占めていた。70例(57%)でGPが閉鎖的質問をなげかけることでInductive Foragingを終わらせていた。
私たちは限られた問題領域をGPが探索する診断プロセスの中間段階で特定した。Triggered Routinesは163の診断エピソードのうち、62回(38%)で観察された。Descriptive Questionsは137回(84%)観察された。身体診察は120例(89%)の診療で行われた。
 収集された情報から特定の疾患の確証と除外を行うことは仮説演繹法の優れた特徴である。しかしGPはこの方略を63回(39%)の診断エピソードでしか用いていなかった。量的に診断の手がかりについて分析したところ、inductive foragingは31%に寄与しており、仮説検証では12%しか手がかりを得られなかった。

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Discussion:
134例の診療における研究で、GPはInductive Foraging、Triggered Routines、hypothesis testingを診断の評価の為に用いていた。今回のプライマリ・ケアの研究では、診断の手がかりを得るうえでオープンな方略は中心的な役割を果たすものの仮説検証の貢献は限られたものだった。
 私たちの研究は、この分野のほとんどの出版された研究とは異なり実際の患者で調査を行った。プライマリケアの現場で発生する症状や病気に関する診療となっており、その結果、使用されているプロセスが患者の問題の全範囲にわたって反映されている。対象は経験豊富な実践者や教育に積極的に関与している側に意図的に偏っているため、経験豊富なGPの推論の詳細な説明を得ることができた。しかその認知プロセスは実際にプライマリケアに従事する医師と異なっているかもしれない。
研究された設定の自然性を保つための私たちの努力にもかかわらず、ビデオ録画とインタビューは、おそらくGPの行動や説明を妨げていました。私たちは、非公式のフィードバックと私たちの印象から、GPがより積極的で、より多くの仮説を立て、いつもよりも多くの情報を収集することがあることを学びました。その結果、我々の研究では仮説検定の頻度はおそらく過大評価されている。
 認知戦略の差異は必ずしも明確ではなかった。GPからの質問が、triggered routinesまたは仮説の評価として理解されるべきかどうかを判断することは時々困難だった。調査したコンセプトの明確な定義を繰り返し開発し、簡潔なフォーマットに落としこんだ(Table1参照)。これは、医学的に適格な観察者を訓練することと併せて、データ分析の高い信頼性をもたらした。我々は、身体検査によって得られた手がかりを別個に報告しているが、これは特定の認知戦略ではない。プライマリケアにおける身体診察は常に焦点が合っており、triggered routinesに似ている。
 GPによって得られた手がかりの定量的調査は我々の研究の大きな強みであるが、関連性ではなくてその数だけの評価にとどまった。Triggered routinesまたはhypothesis testingによって得られた手がかりは、inductive foragingの間に提供されるものより診断にとってより重要だったと推測することができる。我々の研究は限られた数の側面に集中しなければならず、どのように医師が得られた知見のパターンを構築するか、感情、直観、または他の非分析的な戦略がプロセスにどのように影響するかは評価の対象にならなかった。
 患者に最初のデータ収集プロセスを委ね、その後の段階でのみ介入することにより、GPは複数の診断可能性を有する設定に適応する。Inductive foragingは患者の苦痛感を緩和するだけでなく、診断問題の空間を定義するために不可欠である。患者中心の医療と診断的推論の世界は、それによって調和することができる。

【開催日】2018年9月5日(水)

禁煙のための電子たばこ・インセンティブ・薬剤に関する実臨床試験

―文献名―
HALPERN, Scott D., et al. A Pragmatic Trial of E-Cigarettes, Incentives, and Drugs for Smoking Cessation. New England Journal of Medicine, 2018.

―要約―
Introduction:
金銭的インセンティブ・薬物療法・電子タバコが禁煙を促進するかどうかは不明である。
Method:
54 社に勤務する喫煙者を、4つの禁煙介入のうち 1 つor通常ケアに無作為に割り付けた。
・通常ケアでは、禁煙の利益に関する情報と動機付けメッセージ配信サービスを提供した。
・通常ケアの加え
 無料の禁煙補助薬(ニコチン代替療法あるいは薬物療法 (バレニクリンやブプロピオン日本未発売)、これらの標準療法が失敗した場合に電子タバコを使用)
 標準療法を試みたことを要件としない無料の電子タバコ
 無料の禁煙補助薬と禁煙継続に対する 600 ドルの報奨金
 無料の禁煙補助薬と600 ドルの報奨金(保証金)の前払い(禁煙の目標が達成できなかった場合は、継続期間に応じて報奨金は払い戻される)
Results:
登録を呼びかけた喫煙者 6,131 例のうち、125 例が辞退し、6,006 例が無作為化された。6 ヵ月の禁煙継続率は,通常ケア群 0.1%、無料の禁煙補助薬群 0.5%、無料の電子タバコ群 1.0%,報奨金群 2.0%、払い戻し可能な保証金群 2.9%であった。禁煙継続率に関して、払い戻し可能な保証金と報奨金は、無料の禁煙補助薬に対し有意差があった(それぞれ P<0.001 と P=0.006)。払い戻し可能な保証金は無料の電子タバコに対し有意差があった(P=0.008)。無料の電子タバコは通常ケアに対しても(P=0.20)、無料の禁煙補助薬に対しても(P=0.43)有意差を示さなかった。この試験に積極的に参加した従業員1,191 例(19.8%)では、禁煙継続率が試験に積極的に取り組まなかった者の 4~6 倍で、相対的な有効性は同程度であった。

Conclusions:
禁煙に関する実臨床試験において,無料の禁煙補助薬に金銭的インセンティブを追加した群のほうが,無料の禁煙補助薬のみの群よりも禁煙継続率が高かった.通常ケア(情報と動機付けメッセージの提供)を受けた喫煙者では,無料の禁煙補助薬や電子タバコを追加してもメリットなかった.

Discussion:
無料の電子タバコは、従来の禁煙補助薬と比較しても禁煙継続率は高くならなかった。しかし効果を調べる研究ではそれぞれのグループにおいてそれぞれの製品の使用を確実にしておかなければならないので、実情を反映していないかもしれない。
この試験では、喫煙者の間では、職場の禁煙プログラムの禁煙率が低く、無料の禁煙薬や無料の電子タバコを提供しても、情報や動機付けのテキストメッセージにアクセスできた喫煙者の禁煙は増加しなかった。

【開催日】2018年8月1日(水)

ホスピスケアの平均余命

―文献名―
Todd Eichelberger. Life Expectancy with Hospice Care. Am Fam Physician. 2018 Mar 1;97(5)

―要約―
-Evidenve-Based Answer-
ホスピスケアを受けている肺癌、膵臓癌、転移性黒色腫の終末期患者は、寿命が最小限に延長される。少なくとも1日のホスピスケアを受けると、平均余命は3ヶ月まで延長される可能性がある。(Recommendation:B)

▶2007年の後ろ向きコホート研究(n = 4,493)は、末期診断を受けた患者の生存期間を測定した。すべての患者は、診断から3年以内に死亡した。ホスピスケアを受けたのはおよそ2分の1(2,095人)だった。研究は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌終末期の診断の患者を含む、疾患特異的コホートから構成された。サブグループ分析では、ホスピスケアを受けた肺癌および膵臓癌の患者は、ホスピスケアを受けていない患者と比較して平均余命が延長した。(肺癌患者では279日対240日、P 1. Connor SR, Pyenson B, Fitch K, et al. Comparing hospice and nonhospice patient survival among patients who die within a three-year window. J Pain Symptom Manage. 2007;33(3):238–246.

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(原著(上記添付)を参照すると、平気余命を最も延長したのは慢性心不全患者群。研究の限界として、ホスピス入院の決定に関連する要因が結果に影響するかは正確にはわからないと記載あり。この研究によりホスピスケアが死を早めるという誤解を払拭する情報を提供したいらしい。)

▶2015年の台湾の末期肺癌患者に関する後ろ向きコホート研究は、少なくとも1日でもホスピスケアを受けた患者(n = 566)とホスピスケアを受けていない患者(n = 2,833)の生存率を比較した。(20歳未満の患者は除外)ホスピスケアは診断後の生存期間を延長した。(中央値= 0.86年対0.61年、P <.001)
2. Chiang JK, Kao YH, Lai NS. The impact of hospice care on survival and health care costs for patients with lung cancer: a national longitudinal population-based study in Taiwan. PLoS One. 2015;10(9):e0138773.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4583292/

▶2014年の後ろ向きコホート研究は、転移性黒色腫を有する65歳以上の患者(n = 862)のホスピスケアの生存効果およびコスト効果を調べた。ホスピスケアを受けていない患者(n =225例)、3日以内のホスピスケアを受けた患者(n =523例)、3日以上のホスピスケアを受けた患者(n =114例)がいた。終末期の診断から死亡までの平均生存期間は、ホスピスケアを受けていない患者では6.1ヶ月、3日以内のホスピスケアを受けた患者では6.5ヶ月、3日以上のホスピスケアを受けた患者では10.2ヶ月であった(P <.001)。4日以上のホスピスケアを受けた患者は、3日以内の患者よりも平均生存期間が3.3カ月長い(ハザード比= 0.66; 95%信頼区間0.54〜0.81)
3. Huo J, Lairson DR, Du XL, et al. Survival and cost-effectiveness of hospice care for metastatic melanoma patients. Am J Manag Care. 2014;20(5):366–373.
https://www.ajmc.com/journals/issue/2014/2014-vol20-n5/survival-and-cost-effectiveness-of-hospice-care-for-metastatic-melanoma-patients

 

【開催日】2018年8月1日(水)

急性虫垂炎の診断とマネジメント

-文献名-
Matthew J. Snyder. Acute Appendicitis: Efficient Diagnosis and Management. AAFP. 2018; 98(1): 25-33.

-要約-
急性虫垂炎は、成人と小児の急性腹痛症の最も一般的な原因の一つであり、生涯リスクは男性で8.6%、女性で6.7%である。また、妊娠中の女性においては、産科手術以外での緊急手術として最も多い。病歴・身体所見・検査所見の結果は診断の一助となる。右下腹部痛(LR+ 7.3-8.5)、筋性防御(LR+ 3.8)、右下腹部に放散するへそ周囲の痛み(LR+ 3.2)は成人の急性虫垂炎を考える兆候である。また、腸蠕動音の減弱・消失(LR+ 3.1)、psaos sign(LR+ 3.2)、obturator sign(LR+ 3.5)、Rovsing兆候(LR+ 3.5)は小児の急性虫垂炎を考える兆候である。
Alvarado score(もっとも研究がなされているスコア・成人と小児の両方で使用可能)、Pediatric Appendicitis score(小児に特化したスコア)、Appendicitis Inflammatory Response score(新しいスコア)は患者を低リスク・中リスク・高リスクに分けることができ、迅速な診断にも役立つ。

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画像検査の第一選択には腹部エコーが推奨される。→どうですか?
(肥満患者の場合はCTが推奨されている)

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開腹もしくは腹腔鏡下の虫垂切除術が標準治療法である。しかし一部の患者には経静脈的な抗生剤投与が第一選択となる。オピオイド、NSAIDs、アセトアミノフェンを用いた疼痛管理が優先されるべきであり、治療介入の遅れや不要な処置を招く結果にはならない。(Alvaradoスコアは変わらない)
腸管穿孔は17-32%の患者でみられ、敗血症を引き起こす。外科的処置前の症状の長さがリスクとなる。中リスク〜高リスクの患者では、穿孔 の罹患率や死亡率を減らすために、早急な外科的介入が必要である。

【開催日】平成30年7月18日(水)

30歳男性の3人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症 ー 日本人会社員5万人超の累積罹患率を調査

-文献名-
Huanhuan Hu et al. Cumulative Risk of Type 2 Diabetes in a Working Population: The Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study. Journal of Epidemiol. 2018 May 4

-要約-
Background
糖尿病は世界的な公衆衛生上の大きな健康問題であり、日本には1,080万人の糖尿病患者がいるとされている。日本人の全般的な人口を対象とした糖尿病発症リスクに関するデータはあるが、本研究は日本の30歳から65歳までの労働人口(会社員)について2型糖尿病の累積罹患率を調べたものである。
Methods
 研究グループは今回12の企業で働く約10万人の会社員を対象に行われている職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study;J-ECOH Study)のデータを用いて、2型糖尿病の累積罹患率を男女別やBMI別に調べる観察研究を行った。
 対象は、ベースライン時(2008~2010年)に糖尿病を有さず、最大で7年間追跡しできた11企業で働く30~59歳の会社員5万3,828人(男性4万6,065人、女性7,763人)。2型糖尿病の定義は、健診時のHbA1c値が6.5%以上、空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、あるいは糖尿病治療を受けている場合とした。
Results
 27万4,349人年の追跡期間中に、3,587人(男性3,339人、女性248人)が2型糖尿病を新たに発症していた。解析の結果、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率は男性が34.7%、女性が18.6%であることが分かった。対象者をBMIで層別して解析したところ、2型糖尿病の累積罹患率は男女ともに肥満(BMI 30kg/m2以上;男性77.3%、女性64.8%)と過体重(BMI 25~29.9 kg/m2;それぞれ49.1%、35.7%)の人では、BMIが25 kg/m2未満の適正体重あるいは低体重の人(それぞれ26.2%、13.4%)と比べて高いことも明らかになった。
Conclusions
 日本人会社員の大規模コホートで、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率を調べた研究は今回が初めてだと思われる。この結果から、日本人の会社員は男女ともに2型糖尿病になるリスクが高く、その疾病負荷は大きいと考えられることから、特に若年の肥満者を対象とした効果的な体重管理法や2型糖尿病のスクリーニングプログラムの開発が必要とされる。

【開催日】平成30年7月18日(水)

EQを高めてバーンアウトを防ぐ10の方法

-文献名-
Ten Strategies for Building Emotional Intelligence and Preventing Burnout
FPM January/February 2018

-要約-
EQ(Emotional Intelligence)のコンセプトは1990年に精神科医のPeter Salovey, PhD, and John D. Mayer, PhD,によって以下のように定義された。
• (自分と他人の)感情に気づく能力
• 感情を用いて思考を促進する能力
• 感情(の原因、意味、思考や行動との関係)を理解する能力
• 特定のゴールに達するために感情をマネージする能力

Daniel GolemanはEQをこのように表現している。
• Self-awareness — the ability to recognize and understand personal moods, emotions, and drives,
• Self-management — the ability to control or redirect disruptive impulses and moods,
• Empathy — the ability to understand the emotional experiences and responses of others,
• Relationship skills — the ability to build rapport and manage relationships.

EQは患者ケアに役立つだけでなく、リーダーシップの必須コンピテンシーともみなされている。

生まれつきのものと学習するものの両方の要素がある。
EQを高める10の方法は以下の通り。
1.自分の1日のなかでのintentionを明らかにする
 例)「穏やかにしよう」
2.セルフケアの練習をする
3.感情のチェックをする
 自分はどう感じているのか?顔はどうなっている?胸は?胃は?
4.ゆっくりする
 数秒でも止まることで自己制御感を得る 深呼吸もよい
5.好奇心を持つ
6.すべての感情のスペースを作る
7.read the room
8.人を頼る
9.謝る
10.はじめと終わりをきちんとする
 あいさつなど

【開催日】2018年6月6日(水)

成人の急性腎盂腎炎

-文献名-
James R. Johnson, M.D., and Thomas A. Russo, M.D., C.M.  Acute Pyelonephritis in Adults
N Engl J Med 2018;378:48-59.

-要約-
【Pathogen】
・若年健康女性の起炎菌の90%以上はE.coli
・男性や老人女性、施設入院患者の起炎菌は弱毒E.coli株、グラム陰性菌、グラム陽性菌、カンジダが一般的
・sequence typeがST131である耐性E.coli cloneが広まっている
【Strategies and Evidence】
Diagnosis
・腎盂腎炎の診断は「側腹部痛または、側腹部の圧痛があり、細菌尿か膿尿」が存在する場合に推測され、確定診断は尿培養で10,000/mm3以上のコロニーの存在である
・抗菌薬治療を受けていたり、尿が極度に酸性、あるいは尿路閉塞があればコロニー数が少ないこともある
・典型的には全身炎症(発熱、悪寒、倦怠感)と膀胱炎症(頻尿、尿意切迫、排尿障害)があるが、診断基準のコンセンサスはない。患者の20%には膀胱症状がなく、発熱がない
・敗血症、敗血症性ショック、結石、尿pHが7.0以上、新たにGFR<40ml/分になった場合は、閉塞が示唆しているため画像診断(超音波、CT)を行う
Treatment
重症度、共存する病状、心理社会的状態によって、患者には以下の3つのdispositionを行う
①帰宅:輸液ボーラスや持続性広域抗菌薬注射後。軽症で嘔気が少なく、安定し、心理社会的状況が許すとき
②処置室で観察:内服、飲水が出来ず、脱水があり、帰宅するには状態が悪いとき
③即時入院:全身状態が悪いとき
治療の3本柱は対症療法、抗菌薬療法、発生源の管理である
Supportive care(対症療法)
・輸液で倦怠感、嘔気嘔吐を軽減できるため、3時間でリンゲルを30ml/kg投与する。必要に応じて、鎮痛薬、解熱薬、制吐剤を使用する
Initial Antimicrobial Therapy(抗菌薬療法)
・フルオロキノロン、ST合剤は感受性があれば非常に有効で、尿中、腎組織でも高濃度になり成功率90%以上である
・ST合剤に対するE.coliの耐性率は10%を超える。IDSAではフルオロキノロンの耐性率が10%以下なら、経験的治療を推奨している
・健康女性で軽症腎盂腎炎では、E.coliに対して耐性率が15%でも使用して良いが、重症患者では甘く、耐性率が20%以上の場合は、持続性の補助薬(CTRX、GM、amikacin等)を投与すべきである
・推奨投与期間:内服はレボフロキサシン5日、ST合剤・βラクタム10-14日、静注薬は7-14日
・臨床症状は徐々に改善するが、寛解には最大5日ぐらいかかることもある。抗菌薬投与後1-2日で改善しない場合には、閉塞(結石、主要、鎌状赤血球症)、DM、腎・傍腎膿瘍、気腫性腎盂腎炎などの合併が懸念されるために、尿培養、および画像による精査が必要である。外来患者であればより広域の抗菌薬に変更する。
Source Control(発生源の管理)
・エコーは水腎症診断にはCTより感度が高い
・造影CTは膿瘍、膿瘍、炎症、ガス形成には感度が高い
・水腎症の治療は、経皮的あるいは経尿道的ドレナージが必要である
・気腫性腎盂腎炎は、通常、部分的あるいは全腎切除が必要である
Special Populations
・妊娠中の腎盂腎炎は急速に進行し、母体と胎児の生命を脅かすため、妊娠第3期では入院し、静脈内投与を行う
・胎児毒性はアミノグリコシド(妊娠第1期)、ST合剤(分娩近く)、フルオロキノロン(全妊娠期間)である
・腎移植患者の腎盂腎炎は移植不全に繋がることがあるため注意が必要である
【Guidelines】
・女性の複雑生腎盂腎炎のみに対応している
・尿培養が推奨される
・経口抗菌薬に対する耐性率が10%を超える場合は、アミノグリコシドあるいはセフトリアキソンの初期補助量と投与すべきである
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【開催日】2018年6月6日(水)

マルチモビディティ診療モデルの試作「アリアドネ プリンシパル」

-文献名-
Christiane Muth. The Ariadne principles: how to handle multimorbidity in primary care consultations.
BMC Medicine 2014, 12:223

マルチモビディティは主にプライマリケア診療で扱う健康問題である。包括性、患者中心のアプローチ、患者との長期的な関係性、そしてケアの継続性と協調性に対する責任の結果として家庭医はマルチモビディティの患者を特に上手く管理出来る。しかし疾患志向のガイドラインは複数疾患の相互作用を捉えていないため、ガイドラインを遵守しその治療の負担から生じる衝突はしばしば物議をかもす。マルチモビティティにおける意思決定の道標を提供する為に、指針原則を作成しギリシャ神話の登場人物アリアドネ(迷宮から脱出する道標を担った王女)を引用しアリアドネ プリンシパルと名付けた。この目的のために、2012年10月にドイツ・フランクフルトで国際シンポジウムを2日間にわたって開催した。発表され、議論されている現状の知識背景に照らして、北米、ヨーロッパ、オーストラリアの19人の専門家がパネルディスカッションや小グループ会議でプライマリケアのマルチモビディティ管理における懸案事項を確認し、公式および非公式のコンセンサス方法で合意した。プリンシパルは、多段階フィードバックプロセスが用いられ、事例を用いて議論された。

医師と患者による現実的な治療目標の共有は、アリアドネの原則の中核であり、以下の3つから成り立つ。(図1参考)
(1) 患者の状態、治療、性格、背景の相互作用評価:
• すべての現在の状態のプロブレムリストを保持し、その重症度と影響を評価し、投薬を見直す。
• 依存や睡眠障害、食欲不振、脱水などの非特異的な兆候や症状を含む認知機能の問題、不安、苦痛および抑うつの徴候を積極的にモニタリングする。
• 社会的状況、経済的制約、生活環境および社会的支援、健康リテラシー、機能自律性、対処方法を引き出し、考慮する。
• 患者のケアに関わる他の医師やセラピストをリスト化し、全体の治療負担を評価する。

(2)患者の嗜好を考慮に入れた健康問題の優先順位付け
• 生存、自立、痛み、緩和ケアの必要性を含む症状緩和などのgeneric health outcomeに対する嗜好を引き出し、患者の嗜好と同じでない可能性があるため、自身の(暗黙の)嗜好を自覚する。
• 該当する場合は、非公式の介護者や家族の好みを考慮する。
• 患者(および必要に応じて患者の介護者)との現実的な治療目標に同意する。

(3)診断、治療、予防におけるケアの最善の選択肢を実現するための個別化されたマネジメント
介入(診断、治療、予防)よって期待される利益が患者個別の不利益や害を上回るかどうかが重要である
• 個々の患者のリスクレベルと好みを考慮して、治療(および予防)の期待される利益が起こりうる不利益や有害性を上回るかどうかを吟味する。
• 患者(および必要に応じて介護者)の漸増および複合治療の負担を評価する。
• 患者のニーズと能力に応じて自己管理を検討する。
• 副作用の徴候や適切な管理に関する推奨などのセーフティネットの指示を提供する。
• 目標到達度を評価し、相互作用を再評価するためにフォローアップ受診のスケジュールを患者と同意する。
• 患者に関わる他の医療従事者や非公式介護者に相談する。 理想的には、関係するすべてのヘルスケア提供者は治療決定についての情報を受けたり、情報にアクセスすることができる。

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【開催日】2018年5月23日(水)

病院における終末期患者の治療目標に対する意志決定の障壁因子について

-文献名-
Barriers to Goals of Care Discussions With Seriously ill Hospitalized Patients and Their Families A Multicenter Survey of Clinicians
ohn J. You, MD, MSc1,2; James Downar, MDCM, MHSc3,4; Robert A. Fowler, MDCM, Epi5,6; et al
JAMA Intern Med. 2015;175(4):549-556. doi:10.1001/jamainternmed.2014.7732

-Introduction-
終末期の入院患者に対して、ケアの目標に対するコミュニケーションと意志決定がEOL(end of life)のケアの質を向上させる優先事項である。EOLのケアの質を改善するためには既存の障壁を取り除く必要がある。ただ、今までこれらに対する病棟の臨床家の見解を明らかにした論文はなかった。目的としては病院臨床家の観点から1終末期患者とその家族とのケアの目標を阻害する因子について、2臨床家がこのプロセスに従事する意欲と受け入れについて調査することである。

-Method-
カナダの5つの州の教育施設である13の病院で勤務している内科スタッフ、内科レジデント、看護師を対象とし、医師、看護師で個別性を持つアンケートを3段階で作成した。アンケートの内容に関しては、最初のセクションは臨床問題(Box)を読んでもらい、その中で患者と意志決定を議論する上での21の障壁(家族、患者因子に関わるものが10個、臨床医の要因が4つ、システムに関する要因が7つ)の重要性について、主要アウトカムとして7点スケール(1重要でない7非常に重要)で評価するように回答。
次のセクションではケアの目標に対する様々な側面について調査しています。ディスカッションの会誌、情報交換、コーチング(価値の明確化、治療のオプションなど)、延命を希望するかしないかについての最終的な意志決定についてです。それぞれ参加者はどの程度意欲的に取り組んでいるのか、看護師は職場環境でどのくらいこれらに関わっているのか尋ねられた。これも7点スケール(1意欲がない、7きわめて意欲的である)で評価。紙ベースとWebベースの両方で出来るよう対応。結果は研究調整センターで分析された。
解答に関してはスタッフ医師、レジデント、看護師に分けて記載。カテゴリ変数はカウントとパーセンテージ、連続変数は平均と標準偏差で記載。平均と障壁における95%信頼区間が全試験サンプルで報告。専門科での各障壁に対する重要度の違いも評価した。

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-Results-
2012年9月から2013年3月の期間で、1617人の対象者のうち1256人がアンケート調査を受け解答した。全体の回答率は77.7%(646人の看護師のうち512人[79.3%]、634人のうち484人[76.3%]、337人のスタッフ医師[ 77.2%])。
Figure1はすべての参加者によるケアの目標を決める際の障壁と感じるものの重要性です。
障壁の重要性の順位付けは3グループともに同様であり、家族、患者に関連した因子が最大の障壁となっているとの答えであった。
(家族、患者が短い予後を受け入れられない、治療の限界や合併症の理解が難しい、家族間の合意の欠如、本人の意志決定能力
の欠如)。臨床家は自分達のスキル不足、要因はあまり重要ではないと考えていた。また、障壁の順位は類似していたが各重要度は看護師が最も高かった。
Figure2は意志決定の目標を達成する意欲と支持について記載されている。スタッフ医師が最も意欲的であり、次はレジデントであった。
看護師は目標達成の意欲、職場環境のサポートともに高くはなかった。
Figure3はコミュニケーションと意志決定における様々な専門職との関わりの重要性について記載されている。
スタッフ医師とレジデントは意志決定に非常に重要であると評価された、一方でスタッフ医師、レジデントは看護師と比較して、看護師、SW、他の医療スタッフが意志決定に関わることはあまり重要ではないと評価していた。

【開催日】2018年5月23日(水)

急性心筋梗塞が疑われる患者に対する酸素療法

-文献名-
Robin Hofmann, et al. Oxygen Therapy in Suspected Acute Myocardial Infarction.

-背景-
従来は急性心筋梗塞が疑われると虚血部位への酸素供給を増やす目的でルーチンの酸素投与を行っていたが、過剰な酸素は冠攣縮や活性酸素産生により再灌流障害をきたしうる.AVOID trialでは,STEMI患者において酸素投与群で非投与群と比較しより大きな梗塞巣が確認された.一方で,ベースラインで低酸素血症を認めない急性心筋梗塞が疑われる患者にルーチンに行う酸素療法の臨床効果は不明である.

-方法-
スウェーデンの全国的データベースを用いた患者登録とデータ収集によりRCTを実施した.急性心筋梗塞が疑われ,SpO2 90%以上である患者を,酸素投与群(マスク6 L/分を6-12 時間投与)と,室内気吸入群に無作為に割り付けた.(Figure.1)
【結果】 6,629例が登録された.(Table.1)酸素療法の施行時間の中央値は11.6 時間であり,治療終了時のSpO2の中央値は,酸素群で99%,室内気群で97%であった.低酸素血症は,酸素群では62 例(1.9%)が発症したのに対し,室内気群では254 例(7.7%)が発症した.入院中のトロポニン最高値の中央値は,酸素群で946.5 ng/L,室内気群で983.0 ng/L であった.(Table.2)主要エンドポイントとした無作為化後1年以内の全死因死亡は,酸素群では5.0%(3,311例中166 例),室内気群では5.1%(3,318例中168 例)で発生した(ハザード比0.97,95%信頼区間 [CI] 0.79-1.21,P=0.80).1年以内の心筋梗塞による再入院は,酸素群では126 例(3.8%),室内気群では111例(3.3%)で発生した(ハザード比1.13,95% CI 0.88-1.46,P=0.33).(Figure.2,Table.3)事前に定義したサブグループのすべてで結果は一貫していた.

-結論-
低酸素血症を認めない,急性心筋梗塞が疑われる患者に酸素投与をルーチンに行っても,1 年全死因死亡率の低下はみられなかった.

 

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【開催日】2018年5月23日(水)

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