社会的処方の実際〜システマティックレビューから

-文献名-
Social prescribing: less rhetoric and more reality. A systematic review of the evidence
Bickerdike L, et al. BMJ Open 2017;7:e013384. doi:10.1136/bmjopen-2016-013384

-要約-
【目的】社会的処方は、プライマリケア現場の患者とコミュニティ内の支援リソースを繋げる方法である。これは彼らの健康や幸福の改善を助ける目的で行われる。社会的処方プログラムはUK National Health Service内で広く普及、採用されており、私たちはその効果を評価すべくシステマティックレビューを行った。

【セッティングとデータ元】2000年から2016年1月までUK 内で実施された研究を9つのデーターベースで検索した。関連ある報告書やガイドライン、ウェブサイトや検索された文献の孫引き文献も検索をした。全ての検索は英語に限定された。

【対象】システマテックレビューとプライマリケア現場からリンクワーカー(又は社会的処方のファシリテーター)へ患者を紹介したプログラムの評価報告がinclusionされた。Inclusionする研究の選択バイアスは2名の独立した評価者により保証され、
narrative synthesisが行われた。
やり方:http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.178.3100&rep=rep1&type=pdf
透明性への批判:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32270-X/abstract

【一次アウトカム、二次アウトカムの測定】一次アウトカムは、健康や幸福またはヘルスサービス利用量の測定結果とした。

【結果】15の社会的処方のプログラムの評価があった。大部分は小規模で不適切なデザインや報告のため限定されたものであった。又すべてで、バイアスが高いという評価であった。よく見られた研究デザインの問題点は、比較群がないこと、フォローアップ期間が短いこと、標準化され確立された測定尺度ではないこと、欠損値や潜在的な交絡因子への不十分な配慮といったものであった。このような明確な方法論の欠点があるにもかかわらず、ほとんどの評価は肯定的な結論を示していた。

【結論】社会的処方は、広くて提唱され実施されているが、現在のところ、成功したかどうか、対価に見合うかの判断をするための十分かつ詳細なエビデンスはない。もし社会的処方がその可能性を示すのであれば、今後の評価は、研究デザインとして比較群をもうけるべきである。そして、いつ、誰によって、誰に対して、どのように、いくらかかるかも考慮するべきである。

【開催日】2018年3月7日(水)

高齢者の肥満への介入

-文献名-
Deniss T.Villareal.et.al Aerobic or Resistance Exercise or Both in Dieting Obese Older Adult,N Engl J Med 2017;376:1943-55.

-要約-
【背景】
高齢者の肥満は虚弱(フレイル)の原因となるが,減量は加齢に伴う筋量・骨量減少を加速させ,その結果サルコペニアや骨減少が生じる可能性がある.
【方法】
肥満高齢者 160 例を対象とした臨床試験で,いくつかの運動方法について,フレイルからの回復と,減量による筋量・骨量減少の予防における有効性を評価した.対象者を,体重管理プログラム(食事療法)に,有酸素運動,レジスタンス運動,有酸素運動とレジスタンス運動の組合せのいずれかのプログラムを併用する群と,対照群(体重管理プログラムも運動プログラムもなし)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,身体機能テストの点数(0~36 点で,高いほど身体機能が良好であることを示す)のベースラインから 6 ヵ月後の変化とした.副次的評価項目は,その他のフレイルの指標,身体組成,骨密度,身体機能の変化などとした.
【結果】
141 例が試験を完了した.身体機能テストの点数は,組合せ群(27.9 点→33.4 点 [21%上昇])で,有酸素群(29.3 点→33.2 点 [14%上昇])とレジスタンス群(28.8 点→32.7 点 [14%上昇])よりも大きく上昇し(それぞれ Bonferroni 補正後の P=0.01,0.02),いずれの運動群も,対照群と比較して大きく上昇した(いずれの群間比較も P<0.001).最大酸素消費量は,組合せ群(17.2 mL/kg/分→20.3 mL/kg/分 [17%上昇])と有酸素群(17.6 mL/kg/分→20.9 mL/kg/分 [18%上昇])で,レジスタンス群(17.0 mL/kg/分→18.3 mL/kg/分 [8%上昇])よりも大きく上昇した(いずれの比較も P<0.001).筋力は,組合せ群(272 kg→320 kg [18%上昇])とレジスタンス群(288 kg→337 kg [19%上昇])で,有酸素群(265 kg→270 kg [4%上昇])よりも大きく上昇した(いずれの比較も P<0.001).体重は,いずれの運動群でも 9%減少したが,対照群では有意な変化はみられなかった.除脂肪体重の減少は,組合せ群(56.5 kg→54.8 kg [3%低下])とレジスタンス群(58.1 kg→57.1 kg [2%低下])で,有酸素群(55.0 kg→52.3 kg [5%低下])よりも小さく,股関節の骨密度の低下も,組合せ群(1.010 g/cm2→0.996 g/cm2 [1%低下])とレジスタンス群(1.047 g/cm2→1.041 g/cm2 [0.5%低下])で,有酸素群(1.018 g/cm2→0.991 g/cm2 [3%低下])よりも小さかった(いずれの比較も P<0.05).運動関連の有害事象には,筋骨格損傷などがあった.
【結論】
検討した運動法のなかでは,食事療法による減量に有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせる方法が,肥満高齢者の機能状態の改善にもっとも有効であった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.LITOE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01065636)
【限界】
・研究の参加者はライフスタイルプログラムに参加出来る身体能力を有する参加者を選んだため、肥満高齢者全般への適応は不十分
・性別の差異を分析するには十分なサイズではなかった
・参加者の大部分は女性、白人、教育を受けている方であったため一般化の限界がある
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【開催日】2018年3月7日(水)

顕微鏡的血尿の評価,診療所でどうしてますか? 膀胱がんの診断や治療に関するレビューから

―文献名―
Bladder Cancer: Diagnosis and Treatment Am Fam Physician.2017;96(8):507-514.

―要約-
【膀胱がんのリスク因子(Table1.)】
  男性、高齢、白人、特定の化学物質への暴露、骨盤内照射歴、シクロフォスファミドなどの薬剤の使用歴、慢性的な膀胱の感染・炎症、膀胱がんの家族歴、喫煙が確定されたリスク因子である。その他、Table1にはリスクとなる可能性のある因子も紹介されている(*)。
山田先生図1

【症候(Table2.)】
 疼痛を伴わない血尿(肉眼的,顕微鏡的)が最も多い症候である。無症候の顕微鏡的血尿の約1.3%を膀胱がんが占める。肉眼的血尿では約20%に上昇する。
山田先生図2

【診断(Figure1.)】
顕微鏡的血尿の場合
 Figure1.の左の段のように繰り返し尿検査を行い、良性の原因を除外。さらに腎疾患の除外を行う。その後悪性疾患のリスク因子やCT・造影剤のリスク評価を行った上、泌尿器科的精査に進む。最初に行われるのは上部尿路の評価で、造影CTが第一選択。代替として単純CTやMRI、エコーが用いられる。エコーは既知の病変が分かっていない状態で血尿の精査に用いることは推奨されない(感度50%)。上部尿路の病変が除外された後、膀胱鏡の実施を検討する。35歳以上の患者、膀胱がんのリスクの高い患者では年齢によらず膀胱鏡を行うべきである。尿細胞診は無症候の顕微鏡的血尿の精査に用いることは推奨されない。結石や感染が擬陽性の原因となりうるし、悪性度の高い尿路上皮腫瘍やcarcinoma in situに対して高い感度を誇る一方(90%以上)、陰性でも悪性疾患を除外することができないためである。
山田先生図3

その他,膀胱がんを疑う患者
(肉眼的血尿、顕微鏡的血尿 以外にどのような人で疑うべきか文献から読み取るのは難しいところですが)
 ●尿細胞診
  尿路上皮腫瘍のリスクの高い患者においては重要な診断オプションである。既知の尿路上皮癌の患者の再発確認においても有用な検査である。
 ●膀胱鏡
  肉眼的血尿の患者では実施すべき。
TURBT(Transurethral resection of bladder tumor)
 膀胱鏡で病変が認められたり膀胱洗浄による細胞診で異常所見を認める場合はTURBTの適応である。組織病理学的な確定診断、ステージングやグレーディング、目視できる腫瘍の切除、深達度の評価に役立つ。

【Screening】
 無症候の成人に膀胱がんのスクリーニングを行うことを推奨する団体はない。

【開催日】
 2018年2月21日(水)

2型糖尿病の内服治療アップデート

-文献名-
Type 2 Diabetes Mellitus: ACP Releases Updated Recommendations for Oral Pharmacologic Treatment

-要約-
Introduction:
2型糖尿病は糖尿病の95%を占める。一般的には生活習慣の改善(食事、運動)と薬物療法にて治療される。体重減少があった場合や生活習慣の改善でうまくいかなかった場合は薬物療法が行われる。American College of Physicians(ACP)は、2012年に2型糖尿病の安全かつ効果的な内服治療に関するガイドラインを発行した。その後、新たなエビデンスが出て、新たな薬も現れているため、ガイドラインがアップデートされた。

Reccomendations:
血糖コントロールを改善させる必要があるなら、メトホルミンを使うのが良い。効果的に血糖を下げることができ、体重減少に繋がり、低血糖が少なく、薬価も比較的安い。乳酸アシドーシスを起こす可能性のある患者(組織潅流が減少している、血行の不安定性、重篤な肝障害、アルコール乱用、不安定なうっ血性心不全など)には禁忌。
SU、チアゾリジン誘導体、SGLT-2阻害薬、DPP-4阻害薬の併用治療はメトホルミン単独よりも優れており、追加の内服が必要な時に検討する(薬物の選択についてはTable 1を参照)。
SUは薬価が安いが、低血糖と体重増加のリスクが高い。SGLT-2阻害薬は収縮期血圧や体重への影響でSUやDPP-4阻害薬より優れ、また心血管死亡率、HbA1c、心拍数に関してSUより優れている。DPP-4阻害薬は、長期にわたる全ての死亡、心血管死亡率、心血管罹患率についてSUより優れており、体重増加についてSUおよびチアゾリジン誘導体より優れている。
併用治療はメトホルミン単独よりも多くの副作用に関連する。SUは低血糖、チアゾリジン誘導体は心不全、SGLT-2阻害薬は性器の真菌感染症を起こす可能性がある。DPP-4阻害薬のサクサグリプチン(オングリザ)、アログリプチン(ネシーナ)は、心疾患や腎疾患を合併している患者では心不全のリスクが高くなる。
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【開催日】2017年12月20日(水)

健康の社会的決定要因に取り組むためのプライマリ・ケア能力を育てるフレームワーク

-文献名-
Andrew D. Pinto and Gary Bloch. Canadian Family Physician November 2017, 63 (11) e476-e482;

-要約-
<背景>
家庭医は個人や地域の健康に影響する社会的な要因についての理解を持っている。
しかし多くのプライマリ・ケア組織はそれらのSDOHへの取り組む能力を開発できないままでいる。

<プログラムの目的>
質の高いプライマリ・ケアの一部としてSDOHに取り組むための介入を支援し、組織文化を強化する。

<プログラムの詳細>
トロントの聖ミカエル病院(関連グループで4万5千人の患者;貧困が多くホームレスやホームレスリスクの患者を抱え、六つのクリニックを持つ)の学術家庭健康チーム;FHT(75名の医師と100名以上の多職種ですべてのプライマリ・ケアを提供している組織)がSDOHに焦点を当てた多職種チーム(医師8名、地域デザインの専門家1名、ナースプラクティショナー2名、看護師1名、ソーシャルワーカー1名、法律家1名などなど、レジデントや医学生も参加)と委員会活動(年9回の会議と年1回のリトリート)を立ち上げた。活動目標はBox1。委員会では患者への社会因子の影響を調査し、五つの介入についてそのアイディアからプログラムの計画と開発(実施プログラム、その研究費の確保、人材の採用、寄付の募集まで)を行った。

■健康格差についての詳細な社会地理的なデータの収集と分析
・FHTを受診する患者の収入、住宅環境、ジェンダー、その他の鍵となるSDOHを収集し電子カルテに記入
・これらのデータベースを活動と計画のもとにした
■収入保障と健康増進サービスの試験的取り組み
・FHTの中に2名の収入保障・健康増進の専門家を置く
・収入を増やすため、浪費を減らすため、家計のリテラシーを高めるためのプログラムを実施
・実施した内容のカルテレビューや当事者のインタビューから質的研究を実施し、プログラムを改善
■医学と法律の連携の確立
・数年来の取り組みから、常勤の法律家を配置し、三つの活動目標を設定
・一つは社会的危機の予防や、危機による被害への早期介入のための法的な助言
・もう一つは医療システムを扱う力の改善と、弁護士の介入を受けずに法的な問題を同定し対応する
・そして全体的な法的な問題を同定し、SDOHに取り組むための法律の改定や代弁の強化
■診療所単位での子供の健康リテラシー向上プログラム
・アメリカで始まった小児への早期の健康リテラシー向上の取り組み(Reach Out and Read);クリニックの待合室をリテラシー・リッチ(具体的な記述なし)にする、受診毎の助言や本のプレゼント、をもとにした
・トロントの公立図書館への支援、子供への図書バンク、ファーストブックの活動を行なった。
■正規職への就労支援
・診療所と就労支援センターとの連携で開始
これらの介入は厳格な評価計画と実施や効果の測定を含み、次の段階としては開発された方法を社会格差の是正のための社会的に上方の活動に持っていくことである。

<フレームワークの紹介>
Figure1に紹介、このフレームワークはcommunity-oriented primary careの考え方と、Devoeのフレームを組み合わせて開発した。まず四つの視点での情報収集、そしてそれに取り組むための組織開発や五つのStepが述べられている。

【開催日】2017年12月20日(水)

妊娠中のアセトアミノフェン使用と 小児期の問題行動との関係

-文献名-
Association of Acetaminophen Use During Pregnancy With Behavioral Problems in Childhood: Evidence Against Confounding. JAMA Pediatr. 2016 Oct 1;170(10):964-970.

-要約-
Introduction:
アセトアミノフェンは一般的な鎮痛薬の一つであり、妊娠中の全ての段階で安全であると考えられ、解熱・鎮痛の第一選択になっている。
妊娠中のアセトアミノフェンの使用は、多動障害およびADHD様リスクと関連している。 いくつかの研究で報告されている。以前の研究では多くの潜在的な交絡因子が説明されていたが、まだ認識されていない交絡の可能性がある。測定されていない家族性の交絡が考慮される必要があり、
母体の出生前の曝露と母体の出生後の曝露の比較、妊娠中のパートナーの曝露がある。

Method:
2015年2月から2016年3月までに、ALSPAC(Avon Longitudinal Study of Parents and Children)から得たデータを分析した。前向きの出生コホート。
1991-1992年の間にALSPACに登録された7796人のお母さんが対象で、子供とパートナーも調査対象となった。
(ALSPACには、出生前からの子どもと両親の長期にわたる個人情報が、遺伝子研究資源とリンクされて保管されている。)

母親は、妊娠18ヶ月と32ヶ月時に、前3ヶ月間にアセトアミノフェンを使用したかを尋ねられた。
子供が61ヶ月時点で、同様の質問を、母親とパートナーに質問した。また、筋骨格系の問題、感染症、片頭痛あるいは頭痛が同時期にあったかどうかも質問された。投与量や期間などについては詳細に確認をしていない。
子供が7歳になったときの母親から報告で、Strength and Difficulties Questionnaire(SDQ)を測定した。

Results:表やグラフがあれば適宜紹介する。
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妊娠18週および32週でのアセトアミノフェン使用は、行為障害、多動障害と
妊娠32週でのアセトアミノフェン使用は、感情的な症状やSDQ total difficulties と関連していた。

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出生後の母親、パートナーのアセトアミノフェンは関連なし

Discussion:今回の研究の限界、残された課題などを記載する。
胎児期にアセトアミノフェンに曝露した小児は、複数の行動障害のリスクが増加し、アセトアミノフェンと関連した未知の社会的要因や行動要因によっては説明できないようである。
この結果は、公衆衛生上のアドバイスに影響を及ぼす可能性がある。更なる研究により結果が再現され、機序が明らかになることも必要である。
Limitation:
頭痛・筋骨格系の問題・感染症など一般的な使用理由は調整されたが、アセトアミノフェンの適応の情報がない。
妊娠中の母親の健康に対する交絡や胎児への影響の可能性は除外できない。
アセトアミノフェンの用量や期間の情報がない(毎日使用していたのは0.1%)

【開催日】2017年12月6日(水)

組織内での影響力をどう高めるか? 〜7つのスキル〜

-文献名-
Franko, J. P. How to Lead Up in Your Organization. Family Practice Management, 2017, 24.6: 6-9.

-要約-
多くの医師は勤務医であり,大きな組織の中で何らかの役割を担っている。
「Leading Up」とは、Michael Useemの著書にある概念で、組織の中の(特に直属の)上司が行う意思決定に影響を及ぼす能力のことを指す。上司のリーダーシップに不安や不満を持つことは往々にしてある。なぜなら彼らはリーダーシップだけで今の立場に立っているわけではないから。上司の欠点を指摘するのは簡単だが、たいてい有効・健全ではない。代わりに、7つのスキルを用いて自分たちのリーダーシップを高めることで組織に良い影響をもたらすことができる。

1. Develop emotional intelligence(EI)
天性のものもあるが、EIは努力して高めることができる。EIとは、自分と他者の感情をモニターし、感情の違いを認識し、適切にラベリングし、思考や行動に応用することの能力である。特に自分の感情をモニターすることは重要である。感情のままに突っ走ってしまうと大抵問題が起こる。感情的反応を抑制するためにはself-awarenessを高めることが大事で、どんな時に自分の感情のボタンが押されるのかを知っておくとよい。そして、反応が起こりそうな時には「停止ボタン」を押す。例えば、深呼吸をする、唇をタップする、他の人に「もっと教えて」と言う、など。

2. Use power and politics for good
「power:権力」や「politics:決まりごと」は良くも悪くも組織内の関係性に影響を与える。個々人のもつpower、politics、関係性を正確に評価する必要がある。

3. Choose being effective over being right
医師は、正しくあろうとする特徴がある。しかしこれが組織への影響力を弱めることがある。「正しいこと」を証明しようとして多くの争いが起こっている。勝った方は満足するが、人間関係は悪化する。正しさと影響力を天秤にかけて考える必要がある。また、「正しいこと」の基準は人によって異なる。意見の相違に直面したときは、論争を始めるのではなく、体を向けて好奇心を持ち、他者の見方と価値観を理解するための質問をしていく。それによって、問題よりも関係性を重要視していることが伝わり、事態を収束に向かわせる。こういうことを行っていると、上司からは「bridge builder」や「positive cintributor」として見られることになる。

4. Be intentional and prepared
組織内での影響力を増すには、心の中のゴールを意識し目的を持って自分の言葉や感情を用いることが大事である。また会議やプレゼンの前には十分に準備をする。

5. Help your supervisor
まずは上司のauthorityとpowerのリミットを理解する。上司の意思決定能力や指示能力を過剰評価することは珍しくはない。上司はしばしば様々な制限を受けているのだが、それに気づかずフラストレーションを溜めてしまうことがある。次に、上司のニーズとゴールを理解する。そして自分の問題を上司目線で捉えてみる。上司を飛ばしてさらに上司にアプローチするのはやめたほうがいい。

6. Disagree without being disagreeable(感じよく反対する)
聞き飽きた表現かもしれないが、win-winの解決策を探ることは重要である。コモングラウンドが見つからない場合、無理して結論を出さずに意見の違いを認め合うのがよい。また、人を避難するのではなく物事を問題と捉えるよう心がける。

7. Don’t expect credit
自分のアイデアが全員からの賞賛を得ることを期待するとうまくいかない。アイデアをシェアすることで蒔いた種は、上司や他のリーダーが取り込んだときのみ芽を出す。そしてしばしば上司やチームのアイデアとして示される。そんなときは自分の手柄にこだわるのではなく、アイデアが走り出したことを幸せに感じるのがよい。

【開催日】2017年12月6日(水)

Comparison of Early versus Late Orthostatic Hypotension Assessment Times in Middle-Age Adults

-文献名-
JAMA Intern Med. 2017 September 01; 177(9): 1316–1323. doi:10.1001/jamainternmed.2017.2937

-要約-
Introduction:
ガイドラインでは、臥位から立位になった3分後に起立性低血圧を評価することが勧められている。立位3分後に血圧を測定した時と立位直後に測定した時とで、どちらがより強く有害事象を予測するかはわかっていない。

Objectives:
立位直後とそれより後に評価した起立性低血圧を比較し、それぞれとめまいや有害事象との関連性を調べる

Design、setting、and Participants:
Atherosclerosis Risk in Communities Study(1987-1989)に参加していた44歳〜66歳の中年成人

Exposure:
起立性低血圧は収縮期血圧20mmHg以上か、あるいは拡張期血圧10以上の低下と定義。立位直後から25秒おきに合計5回血圧を測定。

Main Outcomes and Measures:
5回の血圧測定それぞれと、立位でのめまいの既往、転倒、骨折、失神、自動車事故、全死因死亡との関連性を調べた。
追跡期間は中央値で23年。

Results:
11429が参加。平均54歳。
Measurement 1(M1、立位から平均28秒後の測定で認められた低血圧)はめまいのとの関連が高かった。ほかにもM1は骨折、失神、死亡との関連が一番高かった。M2(立位から平均53秒後の測定で認められた低血圧)は転倒や自動車事故との関連が一番高かった。
変数で調節すると、M1~M4で認められた血圧低下は全て転倒と有意に関連し、M2が最も強い関連性を示した。M1~M2で認められた低血圧は骨折リスクと最も強い関連を示した。M1~M5全ての血圧低下は失神と有意に関連したが、M2のみが自動車事故と関連した。立位から1分以降に認められた低血圧はめまいや個々の長期予後と関連がなかった。

Conclusion and Relevance:
ガイドラインの推奨とは対称的に、立位になって1分以内に認めた起立性低血圧がめまいや有害事象と強い関連があった。起立性低血圧を診断するためには、立位になってから1分以内に血圧を測定することを推奨する。

川合1(20171115)

川合2(20171115)

川合3(20171115)

川合4(20171115)

Discussion:
制限について。骨折、転倒、失神、自動車事故はICD9のコードかCMS claimsで評価したので、感度に問題がある。立位を指示してから実際に立ち上がるまでに参加者間でばらつきがある。自動車事故については運転手とての技量が評価されていない。

【開催日】
2017年11月15日(水)

冠動脈心疾患患者の生活習慣に焦点を当てたテキストメッセージ配信がリスク因子の改善に及ぼす影響

―文献名―
Clara K. Chow, MBBS, PhD, et al,
Effect of Lifestyle-Focused Text Messaging on Risk Factor Modification in Patients With Coronary Heart Disease
JAMA. 2015 Sep 22-29;314(12):1255-63

―要約―
Introduction:
心血管疾患の二次予防として有効なものとして、内服予防、リスクコントロール、生活習慣の改善などがあるが、生活習慣への介入は最も効果的であるが、十分に研究されていない。 そのため、冠動脈疾患を持つ患者に定期定期にメッセージを送信することで心血管リスク因子を減らすことが出来るかランダム化試験で評価を行った。

Objective:
携帯電話のテキストメッセージによって送信される心血管リスク因子に関する生活習慣に焦点を当てた半個別化支援プログラムの効果を検証すること

Design and Setting:
喫煙、運動および食事療法のメッセージ(TEXT ME)試験は、オーストラリアのシドニーにある大規模な三次病院で2011年9月から2013年11月までの虚血性心疾患の既往のある710人の患者(平均年齢58歳(SD,9.2)男性82%.喫煙者53%)を集めた並行群、単盲検、ランダム化臨床試験。

Interventions:
介入群(n=352)の患者は通常のケアに加えて、6ヶ月間1週間に4回の助言、動機づけのリマインダ、行動変容を支援するテキストメッセージを受信した。対照群(n=358)の患者は通常のケアのみを受けた。各参加者のメッセージは、ベースライン特性(例えば、喫煙)に従ってメッセージバンクから選択され、自動化されたメッセージ管理システムを介して配信された。

Main outcomes and Measures:
Primary end point(主要評価項目):6ヶ月後のLDL-C
Secondary end point(副次評価項目):収縮期血圧、BMI、身体活動量、喫煙状況

Results:
6ヵ月後には、介入群の参加者において、収縮期血圧およびBMIの低下、身体活動の有意な増加、および喫煙の有意な減少とともに、LDL-Cが有意に低下した。
画像1尾崎

Conclusions and Relevance:
冠動脈性心疾患の患者の中で、通常のケアと比較して生活習慣に焦点を当てたテキストメッセージ配信サービスを使用すると、LDL-Cレベルが改善され、他の心臓血管疾患の危険因子が大幅に改善された。

Discussion:
・行動への介入研究でありOutcomeがLDL-Cという代用アウトカムだったため、臨床転帰の改善に繋がるか不明。
・携帯を使えない人、英語の文章を十分に理解できない人は除外されていた。
・Secondary end pointのいくつか(身体活動)は自己申告によって測定された。
・完全な盲検化が出来なかった。
・効果がいつまで続くか不明。

画像2尾崎 画像3尾崎 画像4尾崎Conclusions and Relevance

【開催日】
2017年11月15日(水)

成人の非喘息性急性下気道感染に対する経口ステロイドの効果

ー文献名ー
Effect of Oral Prednisolone on Symptom Duration and Severity in Nonasthmatic Adults With Acute Lower Respiratory Tract Infection: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Aug 22;318(8):721-730. doi: 10.1001/jama.2017.10572.

ー要約ー
Introduction:
プライマリケアにおける急性下気道感染を扱うことは非常に一般的であり、急性下気道感染症の症状は増悪した喘息に類似している。経口および吸入コルチコステロイドは急性喘息に対して非常に有効であるが、米国、英国、および欧州のガイドラインでは、コルチコステロイドを急性下気道感染症に使用すべきかどうかについては指針が示されていない。これにも関わらず吸入、経口ステロイドが使用されていることが多い。今研究の目的は、喘息のない成人の急性下気道感染症に対する経口コルチコステロイドの効果を無作為に調べることである。

Method:
The Oral Steroids for Acute Cough(OSAC) trialは2013年6月~2014年10月の期間で行われた、無作為、3重盲検化のプラセボ群を対照とした研究である。多施設で行われ、オックスフォード等の4つの大学で研究の手法を学んだ家庭医と看護師が患者の適正(4週間以内の発症で、咳嗽に加えて24時間以内に少なくても1つの下気道症状(痰、喘鳴、息切れ、胸痛)を持ち、即日抗生物質の投与が必要でなくかつ5年間喘息の治療を受けていない成人患者)を評価し参加者とした。介入はプレドニンゾロン20mg/日とプラセボを5日間投与であり、フォローアップはウェブ又は用紙を用いて0~6の症状を28日間毎日記載し、咳はさらに28日間記載した。
主要なアウトカムは➀徐々に増悪していた中等度咳嗽の持続時間②投薬後の症状重症度(咳嗽、痰、息切れ、不安、不眠、活動障害)の2~4日間での平均スコア(0~6点)であった。

Results:
58人の家庭医と50人の看護師が評価し、525人の参加者が選ばれた。その中で124人が除外され、401人が参加となった。このうち咳嗽のデータは334人、症状の重症度に関しては370人が利用可能であった。双方の患者の性質に関してはプレドニゾロン群がわずかに男性が多く年齢(平均50歳)が高かった(table1)。
主要なアウトカムについて、①中等度に悪い咳の期間の中央値はプレドニゾロン、プラセボともに5日間であり(table2)、咳の持続時間のベースラインの中央値をCoxモデルに当てはめて計算すると0.91(95%Cl 0.76~1.10P=36) 対1.11(95%Cl 0.89-1.39)であり(9%<20%)有意差は認めなかった。
②2~4日目の症状の重症度に関してはプレドニゾロン群とプラセボで1.99対2.16(95%Cl-0.4~0.00,P=0.5)と0.2ポイント(9.3%<20%)であり有意差は認めなかった(table2)。

Discussion:
この研究ではいくつかの限界があり、1つ目は患者が選択的に集められているため募集率が低くなり一般化に影響が出る可能性があること。2つ目は中等度に悪い咳の期間が基準を満たさなかった募集者が予想以上に多かったこと。
3つ目は他のバイオマーカー(レントゲン、炎症反応、微生物学的検査、レントゲン)が測定されていなかったので
重症度に差が出ていた可能性があること。4つ目に試験の適格基準には、急性下気道感染ではなく慢性または感染後の咳を伴う患者が含まれていた可能性があること。5つ目にこの研究では、患者報告の結果を用いたので客観的ではないこと。6つ目にグループ間で服薬コンプライアンス不良による有害事象の効果について欠如していることが限界として挙げられた。
最後に、今後はCRPの上昇や即時に抗菌薬が必要な程度の重症度の高い場面でのステロイドの有効性についても研究が必要である。

【開催日】
2017年11月1日(水)

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