~家庭医療の発展におけるメンターシップの重要性~

【文献】
Hajar Kadivar: The Importance of Mentorship for Success in Family Medicine. Ann of Fam Med 2010 8:374-375.

【要約】
メ ンターシップは家庭医の個人的な成長やキャリア形成の上で非常に重要な役割を持っている。家庭医療学において学術、研究の領域で適切なフィールドを構築す るためにも必要となる。この記事ではメンターシップの重要性と、主要な要素なコンポーネントを見出し、メンターシップの個人や施設における障壁を同定し、 それらを乗り越えるステップとしたい。

メンターシップは医学の専門性発展のための重要なformal social supportである。このサポートは以下の4つに分類される。
(1) emotional support・・・共感や信頼を提供
(2) instrumental support・・・具体的な支援を提供
(3) informational support・・・アドバイスや情報を提供
(4) appraisal support(評価)・・・形成的なフィードバックと激励をする
こ れらは重要であるが、一人のメンターが全てを提供する必要はない。たいていの人には複数のメンターがいて、彼らが相補的に支援してくれていることが多い。 メンターはメンティーが研修を受けている際には提供されるものであるが、研修早期からずっとメンタリングを受け続けることが重要である。

学術的な分野にいる医師は十分な経験や時間がないと感じているため、メンターシップを提供することに抵抗を感じることもある。メンティーは多種多様な経験レベルのメンターを必要とし、それぞれのレベルのメンターから様々な学びを得る。

メ ンターシップはたいてい個人レベルに対して提供されるが、その利益は個人と組織の双方に認められる。それゆえ、施設間の障壁が取り除かれ、メンターシップ に対する動機づけがなされることで組織は変化する。特に家庭医療が研究の分野での成功を収めるためには重要となる。家庭医が小児科医や内科医と同様にメン ターシップを受けたとしても、フェローシップ終了後のメンターシップはほとんど受けることができず、臨床家や研究者としてのファカルティのポジションもあ まりなく、ほとんど論文も出てこないだろう。よって、研究分野において家庭医療をもっとアピールし、研究、論文を増やしていくことが望まれるのであれば、 新しい研究者に対するメンターシップ制度の構築は不可欠である。

North American Primary Care Research Group (NAPCRG)は、地域においてメンターがいないprotégésのためにメンターシップを提供するワークショップやプログラムの開発を行っている。こ のプログラムの目標は、家庭医療におけるリサーチメンターの数、質、効率、そして生産性の向上にある。Grant generating project(STFM、AAFP、NAPCRGの共同出資)は研究活動に対して支援者がない新人の研究者に対して教育とメンターシップを提供する機会 を与えている。

【開催日】
2010年10月20日(水)